村岡花子年表
連続テレビ小説(朝ドラ)「花子とアン」のヒロイン村岡花子(劇中名「安東はな」本名(旧姓)安中はな)の人生を、孫の村岡恵理『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』、『村岡花子と赤毛のアンの世界』を参照して年表にしました。両者が食い違う場合には『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』を優先しました。
村岡恵理さんに申し訳ないですし、著作権の問題にもなりかねませんので、年表をじっくり読みたい方は、是非とも『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』や『村岡花子と赤毛のアンの世界』をお買い求めください。年表は、『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』の方が詳しいものが載っています。この年表は、あくまでも、村岡花子訳の本を購入する際(またはささっと斜め読みするくらい)などにご利用ください。
西暦 | 和暦 | 年齢 | 出来事 |
---|---|---|---|
1893 | 明治26 | 0 | 6月21日誕生。山梨県甲府市で葉茶屋を営む安中逸平(あんなかいっぺい)、てつの間に8人きょうだいの長女として生まれる。 |
1895 | 明治28 | 2 | 洗礼を受け、クリスチャンとなる。 |
1898 | 明治31 | 5 | 一家で上京。 |
1899 | 明治32 | 6 | 品川の城南小学校に入学。 |
1903 | 明治36 | 10 | カナダ系メソジスト派の東洋英和女学園に編入学し、その後10年間を寄宿舎生活でカナダ人宣教師から徹底した英語教育を受ける。 |
1904 | 明治37 | 11 | 婦人宣教師ミス・ブラックモアが校長として着任。勉強と生活の両面で厳しい指導を受ける。 |
1908 | 明治41 | 15 | 伯爵令嬢柳原菀子(あきこ)(のちに歌人、白蓮)が編入学してくる。 |
1909 | 明治42 | 16 | 柳原菀子に導かれ、歌人、佐々木信綱に師事。短歌結社竹柏会に入り、万葉集や源氏物語などの古典や、短歌の創作を学ぶ。この頃から「花子」と名乗るようになる。信綱の紹介で歌人の片山廣子(ひろこ)(のちに松村みね子の名でアイルランド文学を翻訳)と出会い、生涯にわたる友情を結ぶ。英米文学を原書で読みふける日々のなか、森鴎外が訳したアンデルセン作『即興詩人』に感動し、翻訳家への夢を抱く。 |
1910 | 明治43 | 17 | 婦人矯風会を通じて、公娼問題などの婦人問題にふれる。矯風会の会報誌「婦人新報」に短歌、エッセイ、短編小説、翻訳小説を掲載し、編集も担う。(昭和10年まで) |
1913 | 大正2 | 20 | 東洋英和女学園高等科卒業。卒業式で学年を代表して「日本女性の過去、現在、将来」と題した英文の卒業論文を発表。 |
1914 | 大正3 | 21 | 山梨英和女学校に英語教師として赴任。植村正久牧師主催の「福音新報」に寄稿。友人たちと共同出資して『さくら貝』という歌集を出した。「ひな菊」というペンネームで短歌を発表。第一次世界大戦勃発。 |
1916 | 大正5 | 23 | このころから童話や少女小説を「少女画報」に執筆。3歳下の吉屋信子は花形作家として、同誌で活躍していた。夏、実業家の広岡浅子を通じ、市川房枝を知る。 |
1917 | 大正6 | 24 | 『爐邉(ろへん)』を処女出版、「子どもも大人も楽しめる家庭文学」の道を志す。 |
1919 | 大正8 | 26 | 教師を辞して、東京の日本基督教興文協会(関東大震災後、教文館と合併)で、婦人、子ども向けの本の翻訳と編集に携わる。4月8日、福音印刷株式会社の経営者村岡儆三(けいぞう)と運命の出会い。激しい恋に落ち、半年間で約70通のラブレターを交わす。10月24日、儆三と築地教会で結婚。大森に新居を構える。 |
1920 | 大正9 | 27 | 長男・道雄誕生。 |
1923 | 大正12 | 30 | 関東大震災の影響で、夫の印刷会社が倒産し、多額の負債を抱える。 |
1926 | 大正15 | 33 | 教文館で翻訳と編集を手がける。清新な家庭文学を提唱する出版社兼印刷会社、青蘭社書房を夫と共に自宅に設立。5歳の長男、道雄が疫痢により死亡。 |
1927 | 昭和2 | 34 | 片山廣子のすすめで、マーク・トウェイン作『王子と乞食』翻訳出版。 |
1928 | 昭和3 | 35 | 歌人、渡辺とめ子主催の同人文芸誌「火の鳥」の創刊メンバーとなる。 |
1930 | 昭和5 | 37 | 婦選獲得同盟主催の全日本婦選大会に参加。婦人参政権獲得運動に力を入れる。青蘭社より「家庭」創刊。エレナ・ポーター作『パレアナの成長』(のちに『喜びの本』、さらに『パレアナの青春』と改題)翻訳出版。 |
1932 | 昭和7 | 39 | JOAK(NHKの前身)の嘱託となり、子ども向けニュースの解説にあたる。「子供の新聞」というコーナーを担当して「ラジオのおばさん」として全国で親しまれる。番組最後の「ごきげんよう、さようなら」の挨拶が人気を博す(昭和16年12月の太平洋戦争開戦まで)。妹・梅子に長女みどり誕生。のちに養女とする。 |
1938 | 昭和13 | 45 | 日本初のカルチャー・センターである東京婦人会館(戦後、産経学園と改名)の理事長に就任。 |
1939 | 昭和14 | 46 | 教文館の同僚、カナダ人婦人宣教師のミス・L・L・ショーが、国際間の紛争による世界情勢の悪化のため帰国。友情の記念に、ルーシー・モード・モンゴメリ作『アン・オブ・グリーンゲイブルズ(Anne of Green Gables)』を贈られ、翻訳を始める。 |
1940 | 昭和15 | 47 | 女流文学者会が発足し、入会する。 |
1941 | 昭和16 | 48 | 日本、太平洋戦争に突入 |
1945 | 昭和20 | 52 | 第二次世界大戦終結。『アン・オブ・グリーンゲイブルズ』を訳了。臨時内閣法制調査委員会委員、司法法制審議委員会をつとめ、民法改正要綱審議会に参加し、公的な発言をする機会が増える。吉岡弥生、山高しげりらと共に厚生省の婦人団体、日本婦人協力会を結成。進駐軍と女性の問題、戦災者への救援などを課題にした。日本進歩党婦人部長に就任。 |
1946 | 昭和21 | 53 | 文部省嘱託となって、アメリカ教育使節団と日本政府の間に立ち、教育の機会均等を推進する教育改革に尽力する。 |
1947 | 昭和22 | 54 | 父・逸平死去。享年88。 |
1951 | 昭和26 | 58 | 80歳の母・てつを引き取り、自宅で介護を始める。 |
1952 | 昭和27 | 59 | 5月10日、『アン・オブ・グリーンゲイブルズ(Anne of Green Gables)』を『赤毛のアン』の題名で出版する。以降、昭和34年まで7年にわたり、10冊のアン・シリーズを翻訳出版する。日本初の家庭図書館「道雄文庫ライブラリー」を大森の自宅に開設。近所の子どもに本を貸し出すなどの文化活動が、やがて全国に広がる。11月、産児制限運動家のマーガレット・サンガーの来日時に通訳を務める。 |
1953 | 昭和28 | 60 | 売春問題対策特別委員会会頭に就任。 |
1954 | 昭和29 | 61 | 母・てつ死去。享年83。ウィーダ作『フランダースの犬』翻訳出版。 |
1955 | 昭和30 | 62 | 産経学園理事長、日本児童文芸家協会理事に就任。5月、ヘレン・ケラー3度目の来日時に通訳。『ストウ夫人』(のちに『ハリエット・B・ストウ』と改題)刊行。 |
1957 | 昭和32 | 64 | 家庭文庫研究会会長、日本翻訳家協会副会長に就任。 |
1958 | 昭和33 | 65 | エレナ・ポーター作『くり毛のパレアナ』(のちに『少女パレアナ』に改題)翻訳出版。 |
1959 | 昭和34 | 66 | 娘みどりが物理学者・佐野光男と結婚。ルーシー・モード・モンゴメリ作『風の中のエミリー』(のちに『可愛いエミリー』と改題)を翻訳出版。以後昭和44年の『エミリーの求めるもの』まで、10年にわたりエミリー・シリーズ3部作を翻訳。マーク・トウェイン作『ハックルベリイ・フィンの冒険』など翻訳出版する。 |
1960 | 昭和35 | 67 | 児童文学への貢献により藍綬褒章(らんじゅほうしょう)を受賞する。パール・バックが来日し、晩餐の機会をもつ。孫・美枝誕生。 |
1961 | 昭和36 | 68 | バートン作・絵『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』、ドーハーティ作『アンディとらいおん』翻訳出版。 |
1963 | 昭和38 | 70 | 2月6日、夫、儆三(けいぞう)死亡。享年75。 |
1964 | 昭和39 | 71 | ファティオ作・デュボアザン絵『ごきげんならいおん』翻訳出版。 |
1966 | 昭和41 | 73 | ディケンズ作『クリスマス・カロル』翻訳出版。 |
1967 | 昭和42 | 74 | 娘のみどり一家を訪ねて、渡米。初めての海外旅行。孫・恵理誕生。 |
1968 | 昭和43 | 75 | 10月25日、脳血栓により死去。グリム作、中谷千代子絵『ブレーメンのおんがくたい』翻訳出版。 |
参考文献
- 『アンのゆりかご―村岡花子の生涯』。村岡恵理著。新潮文庫、2011年。
- 『村岡花子と赤毛のアンの世界』。村岡恵理著。河出書房新社、2013年。
アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)
posted with amazlet at 13.11.25
村岡 恵理
新潮社 (2011-08-28)
売り上げランキング: 17,613
新潮社 (2011-08-28)
売り上げランキング: 17,613
よろしかったら一日1クリックで応援して下さい。
↓励みになります。
にほんブログ村