「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法(茂木健一郎著) - レビュー
お勧め度★★★★☆
『「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法』は、
脳科学者、茂木健一郎が「赤毛のアン」に見つけた幸福になる方法を読み解く本です。
「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法 (講談社文庫)
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この本の内容を的確に言い表していると思うので、
背表紙から一部引用します。
『赤毛のアン』には、「幸福」とは何か、その秘密が隠されている。「仮想」「受容」「奇跡」「ひたむきさ」「偶有性」「セレンディピティ」……。
一般的な感想はどこででも読めると思うので、
興味深い箇所を幾つか引用したいと思います。
色々と面白い箇所があって、どこをピックアップするか迷ってしまいます。
人間は「読んだ本の高さの分だけ、成長できる」
仕事を、生活費を稼ぐための手段として仕方なくやっているんだと思っているうちは自分自身もつらい。けれども、仕事をすることそのものを目的とすると、それ自体が喜びの泉となる。
アンのその後の物語は、この第一作目の輝きの残像で、すべて成り立っているような気がしています。『赤毛のアン』シリーズの第一作目、さらに言えば、その中の第十章まで。マリラがアンを受け入れることを決めて、リンド夫人の家から二人で手をつないでグリーン・ゲーブルズに帰ってくるシーン。この十章までの強烈なアンの残像で、その後のシリーズ全てを読んでいる気がしてくるのです。
「奇跡」と出会う瞬間を求めて、日々をひたむきに生きる。
その姿勢が大切なのだと思います。
新しい発見や気づきを求めて「揺れ動く」。たまには目的から外れて「ふらふら」してみる。日常でちょっと視点を変えて行動してみるだけでも、新たな感動に出会える確率はグンと増します。
偶然の幸運を見逃さないでキャッチする能力は、自分の心掛け次第で高めることができるのです。
そして、その「セレンディピティ」を鍛える際に必要となるのは、「行動・気づき・理解・需要」の四つです。
人生で起こることは、半ば自分でも理解しているけれど、残りの半分は予測不可能。人生とは偶然と必然が絡み合って、創り上げられていくもの。人生がどうなるか分からないからこそ、人は成長できる。これが「偶有性」の概念です。
蘊蓄のある言葉の数々、興味深いですね。
ただちょっと気になったのは、「日本には本当の『赤毛のアン』が入ってきていない」と断言しているところ。
日本人にはキリスト教的思想が無く、一つの信念を貫くこともないといった内容が書かれていました。
本当にそうでしょか。
例えば個人的な話ですが、私は、徹底的にクリスチャンとして育てられましたし、
それとは別に、自分自身の強い信念を貫いて生きています。
だから「赤毛のアン」の底辺に流れる本当のストーリーも、
茂木先生とは視点が違うかもしれませんが、私にも何かしら見えていると思います。
それなのに、
なんだか、「僕だけ分かっている。君たちは分かっていない」とお説教されているような、
そんな気持ちになりました。
本を書くにあたって、読み手像を限定してしまうと、
何となく読んでいて気恥ずかしい雰囲気になってしまいますね。
でも、本当に興味深い本です。
ここでは、筋立てもなくつまみ食い的に引用しましたが、
幸福論を真面目に論じた本です。
是非、一度お読みください。
「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法 (講談社文庫)
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