丘の家のジェーン(L.M.モンゴメリ) - レビューとあらすじ
お勧め度★★★★★
「丘の家のジェーン(ランタン丘のジェーン)」は、
ルーシー・モード・モンゴメリの作品の一つで、
「赤毛のアン」から29年後に出版された作品です。
書名 | 原題 | 出版年 | 種類 | 原文 |
---|---|---|---|---|
丘の家のジェーン | Jane of Lantern Hill | 1937 | 小説 | PGA |
この作品の面白いところは、
ジェーンの内面的な変化です。
最初は、叔父に質問されただけでうろたえて答えられないジェーンですが、
プリンス・エドワード島での二度の夏を経験して、
ジェーンは強くたくましく成長します。
祖母との関係の変化も見どころです。
また、プリンス・エドワード島の風景や、
猫たち、村の人々、当時の家政の様子などが、
生き生きと描かれた作品です。
読み終わると、続きの展開がとても気になりますが、
残念ながら、この続編は出版されていません。
モンゴメリは晩年、「丘の家のジェーン」の続編を、
書き続けていたのですが、
結局、未完成のまま亡くなっています*1。
ジェーンの続きは、私たち読者の想像力に任された、
ということですね……。
あらすじ
ジェーンは、うららか街の大邸宅で、
祖母と母の手により、何不自由なく育てられていた。
しかし、祖母がジェーンを憎んでいるという悲しい事実に、
ジェーンは気づいていた。
学校の勉強も苦手、社交も苦手で、
隣の屋敷の孤児とだけ友達になっているジェーンを、
祖母は勝ち誇ったような軽蔑の眼で見ているのだった。
美しく優しい母も、祖母の言いなりになっており、
ジェーンに自由に愛情を見せることすら出来ずにいる。
祖母の好みに合わせ、毎日のように美しく装い外出する母だが、
本当は、心に悲しみを隠している様子だった。
ジェーンは、悲しみの理由を母に尋ねてみることすらできずにいるのだった。
そんな、重苦しい生活を送っていたある日、一通の手紙が届いた。
それは、プリンス・エドワード島の父からの手紙だった。
プリンス・エドワード島で一緒に夏を過ごすよう、
父から招かれたジェーン。
プリンス・エドワード島での生活は、
ジェーンを大きく変化させることになる――。
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*1:『運命の紡ぎ車』p.246。モリー・ギレン著、宮武順三、宮武順子訳。篠崎書林、1979。