「花子とアン」の村岡花子訳「赤毛のアン」シリーズ(アンブックス) - 大人になってからも読み返したい本No.1

お勧め度★★★★★


赤毛のアン」(アンブックス)は様々な翻訳が出ていますが、
何といっても村岡花子訳の「赤毛のアン」シリーズが一番魅力的ではないでしょうか。
連続テレビ小説「花子とアン」のヒロイン、村岡花子が、
戦火の中、原稿用紙をかき集めて翻訳したという、「赤毛のアン」。
格調高い美しい日本語が私たちを惹きつけます。



赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)
ルーシー・モード モンゴメリ
新潮社
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私が読み始めたのは小学生の頃。
新潮文庫の「赤毛のアン」(村岡花子訳)を、
母から譲り受けたのがきっかけでした。
アニメ等で断片的にストーリーは知っていたのですが、
原作を読んでみると、
生き生きとしたアンの世界に嬉しい驚きを感じ、
たちまち惹き込まれてしまいました。



今でも一年に数回は読み返すせいでしょうか。
本はすっかりボロボロになっていますが、
何度読んでも飽きません。
特に、「赤毛のアン」「アンの青春」「アンの愛情」は、
すっかり古文書の様相を呈しています。
最近は「アンの夢の家」も古文書の仲間入りです。




このシリーズの魅力の一つは、
自分の人生を重ねながら読めるところではないでしょうか。
読み始めた頃には「赤毛のアン」のアンは年上のお姉さんでしたが、
やがて「アンの青春」のアンと同年代になり、
アンの愛情」のアンと同年代になり、
今では「アンの夢の家」のアンと同年代になり…(すみません、かなりサバを読みました)。


子どもの頃に「赤毛のアン」だけを読んで、
子ども向けの本だと思い込んでいる人も多いのでは?
さらには、アニメしか見ていない人もいるかも?


そんなの、もったいない!!
大人になってから読み返すと、
もっともっと共感できるのがアンブックスなんですよね…。


実は、村岡花子訳の「赤毛のアン」シリーズは完訳ではなく、
部分的に原文から省かれている箇所がありました。
出版100周年にあたり、訂正が加えられ、
村岡花子の孫で村岡恵理の姉の村岡美枝により補訳がなされました。
村岡恵理は「花子とアン」の原案「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」の作者として有名ですね。)
カバーも模様替えされ、ますます魅力的なシリーズとなっています。


アンの想い出の日々」が「赤毛のアン」シリーズの最後の一冊として2009年11月にカナダで出版されました。
これは、モンゴメリの死の当日、出版社に届けられたもの。
短編小説や、と詩を巡る家族の会話で成り立っています。
2012年に村岡花子の孫、村岡美枝により訳され、赤毛のアンシリーズに加えられました。
詳しくは「アンの想い出の日々」(第11赤毛のアン)についてをご覧ください。
アンの想い出の日々(上): 赤毛のアン・シリーズ11 (新潮文庫)  アンの想い出の日々(下): 赤毛のアン・シリーズ11 (新潮文庫)


ここではあえて、村岡花子赤毛のアン」シリーズに加える形でご紹介します。


以下に、アンブックスの一覧を挙げます。
書名はAmazonの商品詳細ページにリンクしています。


他の翻訳との比較は、
赤毛のアンシリーズの翻訳者比較(村岡花子訳・掛川恭子訳・松本侑子訳)
をご覧下さい。

アンブックス一覧(アンの年齢順)

書名 原題 アンの年齢*1 内容 出版年 作者の年齢 原文
赤毛のアン Anne of Green Gables 11〜16 少女時代からクイーン学院卒業まで 1908 34 原文
アンの青春 Anne of Avonlea 16〜18 アヴォンリー小学校教師時代 1909 35 原文
アンの愛情 Anne of the Island 18〜22 レドモンド大学時代 1915 41 原文
アンの幸福 Anne of Windy Willows 22〜25 サマーサイド中学校校長時代(婚約中) 1936 62 原文
アンの夢の家 Anne's House of Dreams 25〜27 新婚時代 1917 43 原文
炉辺荘(イングルサイド)のアン Anne of Ingleside 34〜40 母親として妻として 1939 65 原文
虹の谷のアン Rainbow Valley 41 アンの子どもたち 1919 45 原文
アンの娘リラ Rilla of Ingleside 49〜53 アンの娘リラの青春時代 1920 46 原文
アンの友達 Chronicles of Avonlea 娘時代 アンの周りの人々 1912 38 原文
アンをめぐる人々 Further Chronicles of Avonlea 娘時代 アンの周りの人々 1920 46 原文
アンの想い出の日々(上) The Blythes Are Quoted 短編など アンの周りの人々 2009 67
アンの想い出の日々(下) The Blythes Are Quoted 短編など アンの周りの人々 2009 67

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)  アンの青春―赤毛のアン・シリーズ〈2〉 (新潮文庫)  アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ〈3〉 (新潮文庫)  アンの幸福―赤毛のアン・シリーズ〈5〉 (新潮文庫)アンの夢の家―赤毛のアン・シリーズ〈6〉 (新潮文庫)  炉辺荘(イングルサイド)のアン―赤毛のアン・シリーズ〈7〉 (新潮文庫)  虹の谷のアン―赤毛のアン・シリーズ〈9〉 (新潮文庫 モ 4-49)  アンの娘リラ―赤毛のアン・シリーズ〈10〉 (新潮文庫 モ-4-50)  アンの友達―赤毛のアン・シリーズ〈4〉 (新潮文庫)  アンをめぐる人々―赤毛のアン・シリーズ〈8〉 (新潮文庫)  アンの想い出の日々(上): 赤毛のアン・シリーズ11 (新潮文庫)  アンの想い出の日々(下): 赤毛のアン・シリーズ11 (新潮文庫)


連続テレビ小説「花子とアン」のヒロイン村岡花子の伝記「アンのゆりかご―村岡花子の生涯」もご覧ください。


アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)
村岡 恵理
新潮社 (2011-08-28)
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*1:Wikipediaの「赤毛のアン」を参考にしました