赤毛のアンに隠されたシェイクスピア(松本侑子) - レビュー
お勧め度★★★★★
松本侑子著「赤毛のアンに隠されたシェイクスピア」は、
「赤毛のアン」の翻訳者松本侑子による、「赤毛のアン」解説本です。
内容が濃く興味深い本です。
シェークスピアだけでなく、イギリス文学やアメリカ文学など、
「赤毛のアン」に登場する引用句を次々と解き明かしてくれます。
まえがきによると、
初めて原書で『赤毛のアン』を読んだとき、なんだか不思議な文章がしばしば出てくることに気づいた。いかにも昔風の言葉づかいで、美しい詩のような一節や、芝居がかったドラマチックな台詞がたびたび出てくる。例をあげると、
「薔薇はたとえどんな名前で呼ばれても甘く香るであろう」
「人生とはなんと味気なく、気の抜けた、生き甲斐のないものだろう」
「過去は忘却のマントで覆い隠そう」
「小鳥たちは歌っていた。まるで今日が、一年でただ一日の夏の日であるかのように」などだ。
とのことで、
「赤毛のアン」の詩的な表現がつぶさに調査されています。
松本侑子訳「赤毛のアン」の訳注でも、
同じ内容が簡潔にまとめられていますが、
この本では、より詳しく、
引用元の前後の流れも紹介して解説されています。
研究書のような内容ですが、
引用元の詩などが豊かに紹介され、
薫り高い文学の世界に惹きこまれます。
章立ては以下の通りです。
- 第1章 シェイクスピア劇――アンはジュリエットとなって、薔薇の一節を甘く語る
- 第2章 登場人物の名は、シェイクスピア劇のパロディ
- 第3章 アーサー王伝説――アンは、百合の乙女エレーンとなり、川を流れゆく
- 第4章 イギリス文学――うるわしのロマン派、イングランドの男性詩人たち
- 第5章 英米の女性詩人――恋と感傷を、ロマンチックに、悲劇的に
- 第6章 スコットランド文学――モンゴメリの心のふるさと、故郷ヒースの丘に立つ!
- 第7章 アメリカ文学――新大陸の夢と悲しみ
アンの世界をもっと知りたい方に、
是非お勧めの一冊です。
赤毛のアンシリーズ(松本侑子訳、モンゴメリ著) - レビューも併せてご覧ください。
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